若い頃の私は、どちらかというと「出来るタイプの人間」だった。
仕事でもプライベートでもよく頼られ、リーダー的な役割を任されることも多かった。
要領もそこそこ良くて、たいていのことはこなせてしまう。
だからなのか、自分がうまくできる分、周囲の“出来ない人”に対して腹を立てていた時期もあった。
「なんでこんなことも出来ないんだ」と。
そんなふうに思っていた自分が、今ではちょっと恥ずかしい。
40代半ばになり、自分にも「出来ないこと」が増えてきた。
厳密に言えば、何かが明確に出来なくなったというより──
やる気が起きなかったり、頭がぼんやりして働かなかったり。
物事をテキパキこなす集中力や精神力が、少しずつ落ちてきたような感覚がある。
以前なら「怠けてるだけ」と自分を責めただろう。
でも今は、そんな自分を「まあ、そんな日もあるよね」と思えるようになった。
心理学者のユングは、人生の転換期を「人生の正午」と呼んだ。
午前中の太陽が高く昇る時期(若い頃)には見えなかった“影”が、
正午を過ぎて太陽の位置が変わることで、少しずつ見えてくる。
この“影”は、自分の弱点やコンプレックス、無意識の本音といったもの。
これまでの人生では努力や勢いで隠してきたものたちが、ふと顔を出す。
そして、それと向き合わざるを得ない時期こそが、ミッドライフクライシスなのだそうだ。
出来ないことを受け入れるというのは、自分の“影”を許すということ。
かつては人に対して感じていた苛立ちや優越感──
実はそれも、「出来ない自分」をどこかで恐れていたからなのかもしれない。
ミッドライフクライシスを経験しなければ、
私はきっと一生「出来ないこと=ダメなこと」だと思い続けていた気がする。
50代、60代になって人が“丸くなる”のは、
この影との対話を経て、自分の幅を広げたからかもしれない。
出来ないことを許せるようになることは、
人生において必要な変化なのだと、今は素直に思える。
☕今日のアフタヌーンティーのおとも
– テーマ:自分の「出来なさ」を受け入れるということ
– 気づき:出来ない自分を許すことで、人にも優しくなれる
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